目から鱗の胡蝶蘭の御供え

伯父が2月1日他界しました。 久留米木鶏クラブの代表世話人の方から御供えに立派な胡蝶蘭が届きました。

見事な大輪の3本仕立てです。

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最年長者の母が喪中を理由に2ヶ月続けて欠席すると言う返事を出したので、予想外の方から伯父への御供えが届きました。

ご覧の通りの大物です。 しかも、2月の寒い時期にも拘らず15度以上の環境で育てるようにという条件の書かれた「胡蝶蘭の育て方」付き。

伯父の家も我が家も田舎の一軒家です。 この時期は室温が5度を切る朝も少なくなりません。  伯父の介護ベッドを置いてあった応接間だけが、常に摂氏15度以上という胡蝶蘭を育てる条件を満たしていました。

5年前に伯父が最初に倒れた時に、伯父を説得して電圧を200ボルトに上げる工事をしました。 伯父が入院していた1ヶ月の間に応接間の床を張り替えて、冬の寒い時期でも室外機が凍って止まらないエアコンを取り付けさせてもらいました。 田舎の一軒家で一人暮らしをする伯父のために介護ベッドを入れられる部屋は、この応接間以外にはありませんでした。

3月20日の七七日が済むまで、伯父のお骨は仏間です。 エアコンのついていない畳の部屋なので、胡蝶蘭は御供えできません。

白い骨壺の主となってしまった伯父に代わって大輪の胡蝶蘭が応接間の主になりました。 日中はレースのカーテン越しに冬の日差しを浴びながら伯父が自宅療養をしていた部屋で日向ぼっこをしています。

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アップで観ると、まるでお花の中に蟹さんがいるようです。

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まるで生きているかのように見えてきます。

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大輪の胡蝶蘭を間近で観るのは初めてでした。 あまりに美しすぎるので、胡蝶蘭が英語でmoth orchidと訳されているのは意外でした。

葬儀屋さんのあとごとサービスで伯父宅を訪ねて来る営業さんに、胡蝶蘭について尋ねてみました。  初盆には3本仕立てが出るそうですが、この寒い時期に大輪の胡蝶蘭は珍しいとの事でした。

大輪の胡蝶蘭ですから、首都圏ならばかなりのお値段です。 九州ですから東京ほどはお高くないと思いますが、簡単に手に入るお品ではありません。

「大輪の胡蝶蘭をいたわりながら、貴方様もご自愛ください。」

85歳で他界した伯父への御供えと言うよりも、兄の後ごとに追われる78歳の母に届いた寒中見舞いだと感じた2月の胡蝶蘭でした。

上には上があるもので、日比谷花壇のページには、一本当たりの花数が今回いただいた胡蝶蘭を上回る誇るプレミアム胡蝶蘭がありました。 奇数の胡蝶蘭はお祝いの花だと思っていましたが、色々と学ばせてもらった2月の御供えです。

胡蝶蘭
立春前の
大師なり。

合掌。