新桃山展の南蛮毛織水指を観て

九州国立博物館の特別展で変わった水指を観てしまいました。

南蛮毛織水指(なんばんもうるみずさし)です。

昭和な私は毛織物(けおりもの)は読めるけれど、毛織(もうる)は読めない。

実は、読めないけれど、その場で思い出せたのです。

もうる?

もしかして、モール?

その場で納得。

帰宅してから少し調べました。

ディープラーニングエンジンのATOK2017 for Macでも、MacOS High Sierraのライブ変換でも、「もうる」で「毛織」は出てきません。

平成のAIに読めない漢字を、一体何時代の人間が読めるんだろうか?

アマゾンにはハマナカの手芸用モールがありました。

やっぱり!

小学校の頃に手芸用のモールが流行ったのです。 学校近くの文房具屋さんで買えました。

まさか、モールが毛織(もうる)だとは!

モールでググったら出ました。

1. インドのモゴル(ムガル)帝国特産という緞子(どんす)に似た浮織りの織物。
2. 金糸・銀糸などと細い針金とをより合わせ、ひも状にしたもの。手芸・装飾などに用いる。
▷ ⑴⑵はポルトガル mogol

何と、ポルトガル語のmogolから来ていたんですね。

mogolに毛織を当てたのは、多分、安土桃山時代の日本人でしょう。

そして、毛織を「けおり」ではなく「もうる」と読ませられたら、もしかしたら「モール」じゃないかと勘ぐるのが私のような昭和な日本人でしょう。

でも、平成のAIには変換できない!

昨今、UFOでタイムトラベルをするヒトの話がネットで話題になっていますが、

早い話、AIにはタイムトラベルが出来ないって事です。

独りでどや顔をした夜です。

最後になりましたが、南蛮毛織水指のお写真は九州国立博物館から提供して戴きました。

特別展のエリアでは写真撮影はできません。 インクを使う筆記用具の使用も禁じられています。 入り口で鉛筆を借りて、音声ガイドリストと出品目録にメモを取りました。 でも、特別展の照明は限られています。 スポット照明のある近くで小さい番号を確かめながらメモを取るのは、かなりストレスが溜まりました。 水指の蓋の花びらの数が気になったので数えてみました。 12枚の筈なんですが、老眼のせいか、照明が暗すぎるせいか、11枚にしか見えませんでした。 九州国立博物館から提供して戴いた画像でも確認できません。 「どうでもいいや!」と開き直りました。 百引く一を、白と書いたり九十九と書いたりするのが日本人です。 このファジーさは、AI泣かせじゃないかなぁ。 グーグル翻訳でもmogolはモゴルです。 やっぱり、日本人は宇宙人だと思います。 美の国日本展で遮光機土偶を観て深い溜息をついた2015年の秋を思い出します。 ああ今年も溜息。

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