梅の名所の太宰府で、次第に気になってきたのが九博の枝垂れ桜です。
最初に見た時はまるでグルグル巻のミイラのようでしたが、先週の金曜日はかなりスッキリ見えました。
「この調子ならば、九博雲海桜が楽しめるかも知れない。」と少し安堵してから、特別展を鑑賞しました。
京都醍醐寺、真言密教の宇宙です。
出品目録に載っている展示をすべて見終えたところで、ガーンと一発、予想外の衝撃を受けました。
住友林業のクローン桜!
今回も九州国立博物館のぶろぐるぽに応募して画像の提供をしていただいたのですが、画面中央に写っているのは醍醐寺の枝垂れ桜のクローンのアクリル標本です。
住友林業 桜 クローン
ググってみたら、住友林業のニュースリリースが出ました。
土牛の桜のクローンだそうです。
そんな有名な枝垂れ桜のクローンだという事は知りませんでした。
昨今はクローンが増えましたが、田舎暮らしが長いせいか、身近なクローンになかなか気づきません。 3年前に伯父が他界した時に、母の友人から見事な胡蝶蘭が届きました。 溜息が出るほど見事だったので、少し調べてみたら、日本で広く流通している胡蝶蘭はプロの連係プレーによって作られるクローンだという事が分かりました。
住友林業のニュースリリースを幾つか読んでいる内に、心が軽くなりました。 桜も薔薇と同じで、一度寒さを経験させると、冬が過ぎた思って春の準備をするのだそうです。
冬来たりなば春遠からじ。
九博雲海桜も期待できそうです。
話を醍醐寺展に戻しますが、クローン桜の標本は3掛3の透かし窓のように見えました。
私が小学生の頃に父が教えてくれた3掛3の魔方陣を思い出しました。 縦に足しても横に足しても15となりますが、どのパターンで作っても真ん中の数字は5です。
陽数でも3の次は5が来ますが、今回の特別展では重要文化財の五大明王像が目立つように展示されていました。
真ん中は不動明王座像です。
今回の展示では、国宝の薬師如来座像も5つの像の真ん中に鎮座。
5というのは治まりの良い数で、中央のどっしりとした薬師如来像は存在ソノモノに安心感を得ました。 特徴を挙げるならば、まるでラグビーの選手のように太い首、広い肩幅、そして厚い胸板です。
ところが、その手前に配された大檀とその中央の宝塔がとても気になって、なかなかその場を離れることができませんでした。 自分が何を見ているのか、全く理解できなかったのです。
こういう時は、人様の視点が役に立ちます。
今回も画像が欲しくて九州国立博物館のぶろぐるぽに応募しましたが、提供していただいた1枚の画像を見てようやく腑に落ちました。
薬師如来と大檀の関係は前方後円墳と同じ、丸と四角です。
仁徳天皇陵と同じ。
上空から観たときに、まるで地球の鍵穴のように見える、丸と四角でできている場所は世界中に散らばっているようですが、バチカンにもあると言われています。
アングルにも寄るんでしょうが、大檀の真ん中の宝塔が、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂の前のオベリスクと似ているように感じられました。
形状は違うし、水鏡も違っていますが、ワシントンDCにも似た場所があります。 宝塔とジェファーソン・モニュメントが似ているように思えるの不思議な感覚です。
ここは日本ですから、宝塔に当たる建造物は、多分、下醍醐にあって瓦屋根なんでしょう。 でも、この一画を収めた上醍醐の薬師堂は、醍醐寺のホームページにある写真で見ると、板葺きの平屋のように見えました。 何の素材かは分かりませんが、薬師堂は900年の風雪に耐えたと言いますから、湿度が高く地震と台風の多い日本にあった建築様式だったのだと思います。
かつて地球には五色人がいたと言われていますが、大檀の五色の花がそれを象徴しているようにも思えました。
今年は既にかなりお疲れ様で、もはや京都まで出掛ける気力も体力も持ち合わせていませんが、若い頃に訪れた場所の思い出はかすかに残っていますから、2月の内に太宰府まで足を延ばして良かったと思いました。
九博の4階からは観心寺の如意輪観音のレプリカが消えていましたが、3階の醍醐寺展では可愛らしい如意輪観音が小首を傾げていました。
何故か分かりませんが、今回の特別展では聖宝座像と如意輪観音座像が近くに配置されていました。
弘法大師空海は嵯峨天皇から淳和天皇への譲位に何らかの形で影響を与えたようですが、どうもそれだけではないらしい。
空海と籠神社の真井姫との関係は今だミステリーですが、もしかしたらこの観音様は真井御膳から如意尼となった女性に似たお顔なのかも知れません。
九博でたっぷり過ごした6時間。
なかなか時間が取れないので、特別展を観たいときは午後8時まで開館している夜の九博の金曜日を狙っています。
帰りは雨でしたが、私的には大満足の真言密教の宇宙でした。