久留米の石橋美術館の楽水亭にはミュージアム・ケーキがあります。 太宰府の九州国立博物館のグリーンハウスには、ミュージアム松花堂弁当があります。
九州国立博物館の特別展を見たら、帰りにグリーンハウスに寄って復習をします。 音声ガイドの資料と出品目録を見ながら、特別メニューを味わいます。 日本料理はアートの世界。 グリーンハウスの松花堂弁当は特別展の縮図です。
九州国立博物館の今年最後の特別展は、尾張徳川家の至宝です。 迷うこと無く、米倉シェフの葵の膳を頼みました。
先ずは焙じ茶で一服。

熱いお茶で疲れが飛びました。
緊張が解れたところで、松花堂弁当です。
お吸い物に色鮮やかなクコの実が入っていました。
「あれ?」
と思ったのですが、考えてみたら今回の展示の中に紅・白段金霞枝垂桜に扇文唐織がありました。 色と言い、形と言い、松花堂弁当からヒントを得てデザインされたIBMのThinkPadを思い出させるお吸い物でした。

右手前はツボ鯛の柚庵(ゆうあん)焼きです。 一瞬、ホテルのおせち料理を食べている気になりました。 まるでお正月を迎えたようなおめでたい気分です。 これがオータニの格です。
左手前はかぶら饅頭です。 薄味のあんで、素材のそのものの味を堪能しました。
右奥は豚バラの朴葉(ほおば)焼きです。 最初に火の入ったプチトマトをいただきました。 クコの実もそうですが、このあたりが米倉シェフの遊び心です。 右横のシイタケは豚バラの添え物としてほどよい味に仕上がっていました。 朴葉焼きは飛騨高山でいただいた朴葉ミソ味噌のきいた郷土料理というイメージがあったので、今回の豚バラ肉には目から鱗が落ちました。 若冲の特別展の時にいただいた松花堂弁当に入っていた鶏肉の饅頭と同じぐらいのサプライズです。
左奥はだし巻き卵と有頭エビです。 どちらもサッパリした色と味。 素材を生かす日本料理の原点を感じました。
松花堂弁当は4つの作品から成る展示会。 各々の作品にストーリーがあります。 小さな宇宙かも知れません。
そんな事を考えながら、非日常の時間を過ごすのが九州国立博物館のグリーンハウスです。 九州国立博物館と同じく菊竹清訓氏のデザインで、窓の景色も目のご馳走。 おもてなしの一つです。
お品書きはなかったので、メニューの写真を撮らせてもらいました。 帰宅してから、スマホで撮った写真を見ながら松花堂弁当の復習します。 ブログに写真を載せて記事を書くのは認知症の予防です。 カラダが縮んでる時は、頭も縮んでいますから。
何はともあれ、実りの秋は味覚の秋!
皆様も、どうぞお健やかにおすごし下さい。