九博の花鳥蒔絵螺鈿聖龕

先週は九州国立博物館で新桃山展を観て来ました。

常設展で観たことのある展示物なんですが、何度見ても惚れ惚れとするのが花鳥蒔絵螺鈿聖龕(かちょうまきえらでんせいがん)です。

今回はようやく少し見えてきました。

特別展では写真は撮れません。 ぶろぐるぽに申し込んで、九州国立博物館から画像を提供して戴きました。

今まで見えていたのは、中央のテンペラ画でした。

誕生したばかりの幼子イエスを礼拝する聖母マリアです。

右の天使は「シーッ!」のポーズ。 左は聖ヨゼフでしょう。

テンペラ画を見慣れたせいか、今回は左の扉の下り藤の花鳥蒔絵螺鈿が見えました。

九州国立博物館から提供して戴いた画像を観たら、右の扉は桔梗です。

今まで見えなかったモノが見え出しました。 すると、今回の特別展に先立って作られたリーフレットの画像が目に飛び込んできました。

扉は見事な蒔絵の螺鈿細工です。

雌雄一対だと思われる鳥が止まっているのは下り藤の左側の扉だけ。

右の扉はよくよく観ると下が桔梗。 葉っぱの形が微妙ですが、上は多分、菊でしょう。

テンペラ画の周囲は手の込んだ蒔絵細工です。

上には十六菊花弁が3つ。 中東で言うところの太陽紋が3つ着いています。

ここまでは、どうにか納得です。

ところがルーペで観ると、テンペラ画の周囲の蒔絵細工には色んな花が見えるのです。

梅も桜もあって、正しく百花繚乱。

平成ではSMAPの「世界に一つの花」という歌が流行りましたが、大きさや位置は異なっていても、花は花。 見えなければ描けません。

昭和天皇のお言葉を思い出しました。

「雑草という名の草は無い!」

お花だけじゃなくって、多くの日本国民が気にも留めないような小さな草も見えていらしたんですね。

平和を祈る秋です。

花鳥 蒔絵 螺鈿 まではATOK2017で出てきますが、聖龕(せいがん)は出てきません。 聖と龕(がん)を別々に入力しました。 広辞苑第6版によると、龕とは仏像などを納めるための厨子や壁画を彫り込んだ棚の事だそうです。 龕という漢字は、上が合で下が龍です。どうも仏壇と聖龕は別物らしい。 日本文化は深くて怖い。 多分、DNAが古すぎる。 一説によると、日本からいろは文字歌を持ってお嫁入りした羅馬姫の方が、仏教伝来よりも、キリスト教伝来よりも、古いんですよね。 龍の上には何かを乗せないと、バランスが取れないようです。

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